企業のための知財戦略

知財の発掘と権利化

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知的財産を発掘するための戦略

企業に埋もれる知的財産(知財)を財産として活用するためには、(1)発掘、(2)権利化、(3)活用、というステップがあります。このようなステップがあることは見落としがちですが、有効な戦略のためには正しいステップを踏むことが重要です。

知財の発掘のためには、企業内にある様々な「情報」(知識・知恵)を目に見える形にするのが一番です(見える化)。例えば、新製品の開発段階で画期的な知見がみつかれば、「新発明ができた!」となりますが、そういうエポックメイキングなことがないときであっても、企業内でのちょっとしたコツ、ノウハウ、工夫などを意識して明確化するように努めてください。特許や意匠としての権利化を目指すか、あるいは、ノウハウとして秘匿しておくかは次のステップに譲ることにして、まずは、「情報の棚卸し」をするつもりで企業内の知識を洗い出してみてください。

また、企業あるいは製品のシンボルとして用いている標語やマークに着目してください。こういった標語やマークを付けることにより、他社のものとの区別がついているのであれば、これらの標語やマークは「営業上の表示・標識」に該当し、知的財産であるとして認識すべきものです。

知的財産を権利化するための戦略

知的財産(知財)を的確に発掘したとしても、それぞれの知財を保護、活用するする手段はいくつかあるのが普通です。一方、知的財産権の保護の範囲や効力、権利取得の条件は様々な違いがあり、対応可能な領域が異なっています。では、どのような戦略で知財の権利化を進めるのがよいのでしょうか?

まず、発掘した知財それぞれについて以下のポイントを考慮してください。(1)他社がその知財を模倣した場合に発見が容易であるか、(2)その知財は今後も秘匿可能であるか、(3)その知財を用いることによる経済的メリット、(4)その知財が使えなくなった場合に回避手段があるか、(5)権利化の可能性が如何ほどか。

その知財の模倣の発見が容易であって、なおかつ回避手段がないのであれば、多くの場合、特許権や意匠権などの独占的な権利の取得が望ましいといえます。特許、意匠のいずれにすべきかは知財の内容によります。

その知財を模倣していることが発見しにくいような場合には、公開を前提として権利付与される特許権や意匠権の取得はあまり得策ではない可能性もあります。技術上の営業秘密(ノウハウ)として不正競争防止法上の権利を行使できるように必要な措置を講じることがベストである可能性もあります。

営業上の表示については、模倣すればすぐに発見できるものですから、商標権を取得しておくのがよいでしょう。

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知財に関する重要な留意点

知的財産(知財)を権利化するためには、多くの場合、その知財が秘密状態であるときに必要な措置を講じなければなりません。例えば、特許権や意匠権を取得するためには、対象の発明やデザインを公表する前に特許庁へ出願しなければなりません(例外規定あり)。また、ノウハウについて不正競争防止法上の保護を受けるためには、そのノウハウが秘密管理されていなければなりません。したがって、知財を戦略的に権利化するためには、企業内での秘密管理が重要になります。営業活動や学会を通じて他社への不用意な遺漏がないように、十分な管理体制が望まれます。

現在では事業は複雑になっていて、ごく限られた分野を除いては、ひとつの知的財産権では事業を十分にカバーできません。そこで、事業の全体像を俯瞰しながらの知財のポートフォリオ構築ということが重要になってきます。このとき、知財の発掘の項目で指摘したように、社内の情報を「棚卸し」しておいたことが役に立つと思います。

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